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屋台裏ノート

OZMAFIA!! 感想・考察なぐり書き

コミカライズ完結、フーカにさわりたがる人達

OZMAFIA!! コミカライズ版

月ヶ瀬ゆりの先生によるコミカライズが完結しました。
1年ぶりの単行本!おもしろかった!
ゲームやる前の導入におすすめ!クリア後の余韻のお供にもおすすめ!

2012年から約2年半、WEBコミックアクションにて連載。単行本は3巻まで、いくつかの書店ではペーパーやイラストカードの特典付き。ステラワースでは全巻特典付きで通販可。

今回は、本の外側、中身、各巻の感想と好きなコマ、あとフーカさんへのスキンシップ問題について書きます。

 

>> 以下、OZMAFIA!! PC版、vita版のネタバレを含みます

 

本の外側

 

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装丁は團夢見さん
まず表紙がめちゃくちゃかっこいい。3冊並べるとブロンズ、シルバー、ゴールドの重厚な雰囲気がとても素敵。乙女ゲームのコミカライズには見えない気がする…本編が乙女ゲームとしてははみ出す部分が多いのと、コミカライズも個別ルートや恋愛よりもオズマフィア世界の雰囲気、物語の導入を描いているのでぴったりだと思います。

裏表紙は1巻からそれぞれシーザーとフーカ、ソウ、パシェとフーカ。1巻と2巻を並べるとウォールフガングサンドだー!って遊べる。

カバーの下は毎回の楽しみ。1巻はオズ世界の地図、2巻はシーザーの設定画、3巻はグリムファミリーの4コマ。地図はvivace限定版の冊子よりはっきりわかりやすいのでガン見できます。山があって川が流れて、地形でファミリーの領地が分かれているところなんかも見える。シーザーさんの設定画も細かいところまで書いてあって、わたしもあの喉の模様が五線譜に見えるようになりました。

 

本の中身

ゲームの共通ルートからハーメルンに向かっていく話。各所でドキッとしながらフラグを立てていくフーカですが、個別ルートオチというよりも、いろんなキャラとのやりとりを重ねて自分の居場所について答えを出すまでのお話。

ゲームの大きな流れに各キャラクターの魅力を交えてきれいにまとめきった印象。ところどころ駆け足ですが、突っ込んで書くとどこまでやっても足りないだろうと思うと、興味をそそられる要素がピックアップされているこのぐらいが良い形だと思います。読んでからゲームをやると、「ここがこういう話に広がるのかー」とうまい具合に楽しめるのでは。攻略キャラクターからサブに至るまで、キャラクターの魅力の汲み取り方も見事。

コミカライズとして一番の印象は、キャラクターが生きていること。本編のセリフやスチルやを踏まえたコマが散りばめられていて、その隙間を埋めるような、なめらかな物語の動きに引き込まれます。ひと言ひと言のセリフや行動の隙間が絵となって見えることで、ゲームで見ていた同じシーンでも流れを感じて感動しました。これぞコミカライズの醍醐味。

同様に漫画ならではの効果が引き立てているなと感じたのはキリエ。無言のコマで見せる視線や間が、表からは見えないものやトリッキーな性格をより印象的にしています。特に真相に関して、コミカライズでは何も示されていないものの、時々これはとピンとくる顔をしているのがとても良いです。これはソウについても同じ。たまりません。

また、背景に街の人がいたり、その住人と会話するカラミアたちも、そこに住んでいるんだと強く新鮮に思えました。家具や後ろ姿など、背景やキャラクターがいろんな角度から描かれているのも隅から隅まで見たいところです。
塔の広場にはネコがいるんだよ。

 

 1巻

街で目覚めたフーカがオズファミリーに拾われ、少しずつ交流を始める話。カラミアが優しくて、キリエはどこか妖しくて、アクセルは怖いかと思いきやかっこよくて、オズファミリーの良いとこどりの1巻。

アクセルの顔がかわいいかわいい。照れるともっとかわいい。頻繁にキャラの周りで花が舞うのが少女漫画らしいけどなんかちょっと恥ずかしい。最初の3分の1がフーカの目覚めた日の出来事、フーカさん大変だったなあと改めて思いました。

好きなコマ

  • 2話 「フーカとか…?」

フーカが「フーカ」を名乗るところ。そういえばフーカって名前はフーカさん自身が選ぶんだよなあと今更納得したコマ。ゲームは「フーカ」と自分で打つ行動をはさむだけにどこか自分を含んだ感覚があったのが、改めてフーカさんが主人公として自分から切り離された感じがしました。

  • 3話 ”カシャン カシャン”

街で初めて話したスカーレットが去っていくコマ。そういえばライフル背負ってるんだから歩けばそんな音がするんだろうなあと今更思ったコマ。今更思うことばかり。

  • 3話 キリエの見開き

夜の闇、森の向こうにいるキリエを呼ぼうとしたフーカを黙らせるコマ。手袋をはめた指のアップから、ひとさし指を口に当てて意味ありげに笑うキリエさん。キリエさんの妖しさ、最初のピーク。ぞくぞくする!結局マンボイ、アルファーニと何してたんだろう。

 

 2巻

ウォールフガングに捕まったアクセルをフーカが助けに行くところから、ミスコンや流星群祭の話。ウォールフガング成分多めでわたしが嬉しい2巻。

うまいなあと思ったのは話のつなげ方。アクセルの甘いもの禁止→フーカがソウからもらったお菓子を分けようとする→キリエ「どこで手に入れたのですか?」と居候の負い目を意識させる流れ、ゲームとは違うつなぎ方が見事!
2巻は終わり方がとても綺麗。流星群祭当日それぞれのキャラクターの様子から、フーカが思い出を振り返って星に願うこと。描写は短いですが、1巻から読んできた物語をフーカと同じように振り返る気分になってとてもぐっときます。そしていよいよそこにハーメルンが、という示唆と3巻への期待感もたまりません。

好きなコマ

  • 7話 「ーーおかえり アクセル フーカ」

ウォールフガングから救出されたフーカをカラミアが迎えるコマ。カラミアさんはやさしく出迎えるんだけど、アクセルのジャケットを頭からかぶってるフーカさんのシルエットはなんかジャミラみたいな…よく見るとちょっとシュールでかわいい画。

  • 8話 「『僕とお付き合いしてください』というところからです」「ちがうちがう『君は僕の太陽だ愛してる』ってトコだ」

長い。ウォールフガングから帰還後フーカと距離が近くなったアクセルをいじるカラミアとキリエのコマ。それまでの圧倒的アクセルの流れから、ここぞとばかりに煽るわべたべた触るわ、いろいろあった後の”いつものオズ”感に笑えてほっとします。

  • 10話 「いひゃいいひゃい」

野菜嫌いをバラされたシーザーにほっぺたをつねられるソウのコマ。全3巻の中でこのソウが一番かわいい。

 

 3巻

キリエがフーカを娼館に連れて行ったかと思ったら一気にハーメルンルートへ。グリムファミリーをはじめひとりひとりが背負う重いものが次々投入され、オズの世界の深さが描かれる3巻。

表紙をめくってすぐ、ハーメルンの背中がつらい。特別編で眼帯をしていない顔が見慣れないことがつらい。その景色が、最初のページの背中につながっていると気付いてつらい。
ロビン先生とのやりとりがきっちり描かれていてとても重い。スカーレットもそうですが、回想がひとコマひとコマにぎゅっと詰まっていて重い。どうなるか気になっていた先生の執念の言葉はエグいままでした。目の前であんな応酬されて立ち上がれるフーカさんちょっとすごすぎる。
これまでに出会った人たちの様々な思いに触れた果て、フーカが辿り着く答えはとても心強く感じます。
巻末にはゲーム発売前の冊子からオズファミリーとフーカの話、さらにゲーム本編のアフレコレポートも収録されていてテンション上がりました。

好きなコマ

  • 15話 「ど どこ触って…」

教会のワイン倉庫にハーメルンと隠れたフーカのコマ。ゲームの同じシーンではもっと別のとこ触ってると思ってました。だってハーさんだし( 'ω')

  • 16話 「……本当に戻っていたとはな」

逃げ出したハーメルンとフーカを追い詰めるパシェのコマ。シリアスなところですがパシェの素敵なふとももに目が行ってしまう。

  • 15話 「永年を生きる支配者層は街をおさめ 領民の暮らしを守り続ける」

支配者層、被支配者層の仕組みについてフーカに説明するカラミアのコマ。真剣な顔のカラミアさんの後ろに意味ありげにそびえる塔に、コミカライズでは出てこないあの子を思い出してしまいます。こういう、言外に見える真相の陰が本当にちょうど良い。

 

コミカライズスキンシップ問題

ゲームでは描かれない隙間が描かれることで、フーカさんにさわってる人達がにわかに気になるようになりました。ゲームですらべたべたさわってるのに。そこで、1巻から3巻までフーカさんに意図的にさわっているように見えるコマを数えました。

結果

  • カラミア 16コマ
  • キリエ 11コマ
  • ハーメルン 10コマ

なるほどと思ったのはカラミアさんがフーカさんの頭をポンとさわる回数。4回(1巻)→1回(2巻)→0回(3巻)ときれいに減っていくのがハーメルンルートへのフーカさんの親離れ感があります。それを意識して3巻を読むと、一緒にクレープを食べるところで同じベンチに座っても領民に恋人同士と間違われても何もしないカラミアさんが印象に残りました。
それと入れ替わるように、3巻のハーさんの追い上げがすごかったです。キスまで見事にかっさらっていくハーさん……!

ほか、アクセルは手をつなごうとしてやめるしかなく、むしろフーカさんがさわりに行くスタイル。シーザーさんはさわるよりも壁ドンしたりひざまずいたり。

意外とソウがフーカに距離を置いている印象。にこにこ笑って話はするけれど、踏み込んだセリフは削られていたり、直接さわることはない。その印象で2巻の裏表紙を見ると、ひとりだけ単独なのが何か意味ありげにも思えます。コミカライズのソウは本編共通ルートそのままの風味がとても良い。親しげながら怪しすぎずくっつきすぎず、真相を知っているとぴんとくるところやちょっと勘ぐることができるのが素晴らしいです。

 

頭をポンとなでられていたのはフーカだけではありませんでした。街に戻ってきたハーメルンと再会したスカーレットは、ハーメルンの意図とファミリーの務めとを逡巡したところで頭をなでられます。「スカーレットは優しいな」と言うハーメルン自身の優しさがどうしようもないほど沁みるシーン。この絆が「ハーメルンさんが戻ってくるその日までグリムファミリーを守り続ける」というスカーレットの意志になり、物語の最後にフーカの気持ちを決めるひと押しになったのが泣けます。

 

さわってるコマなんてカウントしてる時は何やってるんだろう…と思いましたが、結果、フーカさんと周囲との距離がよりはっきり見えてきたのでやってよかったです。

 


 

コミカライズとして、月ヶ瀬ゆりの先生のかわいい絵でまた一味違うオズマフィアの物語を読むことができて嬉しいです。物語の脈をしっかりと追い、たくさんのキャラクターたちを意味を持って登場させ、あれだけ何でもありの話を3巻にまとめるのはどれだけ大変だったのかと本当に感嘆します。
改めて読み返すと、これをきっかけにゲームをする時の楽しみや、ゲームクリア後に見つける楽しみどちらもあるなあと思いました。ゲーム本編はなかなかすすめにくい部分があるので、コミカライズは全方向におすすめできるのも嬉しい。もちろん、ひとつの作品としてフーカと不思議な登場人物たちの物語を楽しむこともできる良作です。
月ヶ瀬先生ありがとうございます!

 

おわり( 'ω')ノシ

 

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